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カッコウ……草原の野鳥を見に行く3

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北富士演習場ではホトトギスとカッコウの声を同時に聞くことができる。しかし山にホトトギス、野にカッコウで、広い演習場を車で回って目にするのはカッコウがほとんどである。
それは、草原に生息するノビタキやモズ、オオヨシキリがカッコウの託卵の相手だからだ。ホトトギスを見たければウグイスの生息する森林エリアに足を運ばなければならない。
演習場の草原にはあちこちに小高い樹木が立っている。ときどき原に火を入れるので、焼け焦げた黒々とした幹と枝だけ残された木が新緑の草原にポツンと立っている光景は、何か異様でもあり、独特の美しさもある。
遠くの樹木の枝にカッコウがとまっている。尾羽をピンと立てた独特のスタイル。宮沢賢治の「セロ弾きのゴーシュ」に、ゴーシュのところにカッコウがやってきて、外国に行く前にドレミファソラシドを教えてくれと頼む箇所がある。賢治がカッコウが体を曲げて一生懸命にいつまでも叫んだと書いた姿は、きっとこの姿なのだろう。
しかし、カッコウはなぜあんな格好をするのだろう。
「カッコウのあの勇敢な姿は、近くで向かい合う他の雄への示威か、発情の頂上に達して近くの雌にいどむときの姿勢ではなかろうか」と、かつて仁部富之助は『野の鳥の生態』に書いた。
カッコウの雄があの姿で鳴いていると、他のカッコウ(たぶん雄)が同じ木に飛んできて、片方が木を離れたり、小さなノビタキが大きなカッコウめがけて果敢に突進していくのを観察することがある。
もしかしたらそれこそカッコウの雄の思惑で、追いかけられているすきに託卵相手を見つけた相棒の雌が、ちゃっかり託卵に成功しているのかもしれない。
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by komachi-memo2 | 2015-06-06 11:51 | 探鳥 | Comments(0)