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手製本の針

先日、小泉和子さんから吉井忠の戦中・戦後の農山村のフィールド調査の絵日記をどこかで出版できないかと相談を受けて、久しぶりに目黒の小泉さんの研究室に伺った。『洋裁の時代』の編集作業で通った時からご無沙汰だから3年ぶりだ。小泉さんが高校生時代に吉井忠と知り合ったこと、家族のように親しかったこと、故あって吉井の絵画をたくさん所蔵していることなどを伺っていると、小泉さんが「あなたは絵を描かないの?」と聞かれた。亡父が絵描きだったことを小泉さんは知っていて、それで聞かれたのだ。小学時代は毎日描いていたこと、最近はまったく描かないので、へたになってしまったことを話すと、「なんでもそうよ、文章だって書き続けていなければそうよ」と言われた。
確かにそうだ。フィールド・ノートに観察した鳥の特徴を描こうとするが、まったくへたくそで文字だけの記録になっている。毎日絵を描いている元は最近ますますうまくなって、しかも描くのが速い。差はつくばかりである。どんなことでも手に能力のある人にあこがれ、尊敬する。手仕事の魅力は高級だからでも、一品製品だからでもなく、そんなところにあるのだろう。最近、手製本用の針を買った。太くて先がとがっていない針だ。教室で習ったことを忘れないうちに体で覚えたい。子どもの頃、鉛筆がボンナイフできれいに削れるようになったとき、釣り針にテグスが結べるようになったときのうれしさは、子どものときだけのものではない。手にたくさんの能力をもっていたいと思う。
by komachi-memo2 | 2007-05-12 19:01 | 道具 | Comments(0)