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『まことの徒然草』

c0042548_18445969.jpg 先日、一冊の小冊子が送られてきた。『まことの徒然草』。一気に読んだ、ああ、面白かった。「雑草元年」「庭農業」「ハムレークン」「入り隅物語」「OM10話」……。まるで、まことさんの隣にいて、話を聞いている具合だ。
でもこんなに文章の面白い人だとは。まことさんを知らない人が読んでも、「え! この人何なの?」と興味を持つこと、間違いなしだ。
 じつは私、建築家・奥村まことに原稿を頼んだことがない。というより原稿を書いてくれたことがないのだ。
 ずーと昔、私が20代で建築の雑誌社に入りたての頃、最初に担当した特集が「原点としての卒業設計」という特集だった。だれか女性建築家に書いてもらおうと、初めて中村橋のアトリエを訪ねた。書いてくれないかもしれないよとアドバイスをもらっていたので、テープレコーダーを持っていった。案の定、「私は書かない、林雅子に書いてもらえ」と言われた。テープを回すと、口を閉ざしてしまう。これがまことさんとの初めての出会いだった。それ以来、一度も書いてもらったことがない。昭雄さんの本は4冊つくったのに。
 この冊子の最後で、まことさんは、年をとるにしたがって「自分のやりたいことをやる範囲」と「やりたいことをやれない範囲」の比率が変わってきた、と書いている。文章をすすんで書くようになったことも、この冊子がとても自由なのも、そうしたまことさんの近年の気分の現れなのだろう。いいことだ。もっともっと書いてほしい。
 この冊子、自由で楽しいだけではない。ときにギックと驚かされるのは、まことさんたる所以。
例えば「入隅物語」の空間認識の問題、羽仁もと子から植え付けられたDNA、そして極めつけは次のことば。
「新しい景色 ビックバンなんてなかった。宇宙はものすごい勢いで拡大しているなんてウソ。人間に必要な労働量は今の1/5くらい。雑草こそ文化の中心。誰もやったことがないことをやりたい、というのが人間の究極の希望。人間は何のために生きているかというと、「生まれてしまったから」」。
 80過ぎの婆さんから元気をもらっている。そんな冊子を完成させてくれた東由美子さんと石原朋子さんに感謝します。
by komachi-memo2 | 2013-10-05 18:48 | BOOKS | Comments(0)