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komachi memo2

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ようやくGO——宮本常一講演全集

 2年越しの企画編集作業を進めたきた「宮本常一講演全集」の発刊のGOサインが、ようやく版元の農文協から正式に下りた。今回は編集局のトップふたりが読み合わせるという念の入れようだったが、「面白い!」という連絡が入った。面白いに決まっているさ。
 戦前から戦後高度成長期にかけて日本全国を歩き、民衆の生活と暮らしをつぶさに記録した宮本常一は、話の名手でもあった。彼が農村や離島に繁く通い、そこに暮らす人びととその地域が自立する道をいっしょに考え、いっしょに悩み、叱咤激励し、具体的なヒントを与えたことで、生まれ変わった村は数多くあるが、どのような話をしたか、その多くはこれまで一般の人には眼に触れることができていない。この全集では地域での講演、武蔵美で講義した紙や染織といった日本人の生活文化講義、晩年の観文研での勉強会での「日本人はどこから来たのか」という壮大な宮本の日本歴史観まで、いま手に入る講演記録を可能な限り収録して、ミヤツネさんが戦後の日本の文化を、日本の地域をどのような方向に立て直そうと考えていたか、またその日本文化全体についての視点と博覧強記ぶりを編むことで、ただの民俗学者に収まらなかった宮本常一像をあぶりだそうとしている。
 こちらは既に延べ1000頁を優に超えるリライト作業を進めてきたから「NO」が出たらしばらく立ち直れなかった。正直安堵したが、この編集作業、トライアスロンレースに例えるならば、ようやく水泳を終えてバイクのペダルを踏み出した辺りか。順調にいけば7月から来年にかけて発刊。「発刊を早くしないとこちらがくたばる」とせっつく田村善次郎先生との二人三脚、完成まで道中未だ遠しであるが、手応えのある仕事だ。以下のテーマに分かれる。

1巻 民衆と生活文化
2巻 生活と伝統
3巻 ふるさとを育てる
4巻 地域を見る眼差し
5巻 旅と観光
6,7巻 日本文化の形成
8巻 日本人の歩いてきた道

●農文協から7月より順次発刊予定
全8巻、四六判、各巻300頁前後
Commented by koike at 2013-02-26 12:05 x
おめでとうございます。
「宮本常一とあるいた昭和の日本」(全25卷)の配本を受けています。また、未来社で出た全集も半分は持っています。
各地の講演記録がある筈だ、と思っていましたので、発行されたら間違いなく購入させていただきます。というより、発刊が楽しみです。
Commented by komachi at 2013-02-26 16:08 x
小池さん、どうも。「あるくみるきく」の販売が終わるまで待ってくれと昨年は待たされ、発刊が今年になりました。よろしくお願いします。
Commented by dehoudai at 2013-03-04 11:28
周防猿回しの村崎修二さんが宮本常一さんの晩年の「内弟子」みたいな人で、面白い話が聞けます。島の古老が「あの人(宮本さん)は良い世間師だった。」と言っていたとか、
Commented by komachi at 2013-03-06 21:43 x
ミヤツネさんは晩年に猿回しの復活に力を注いでいましたね。今回の講演集にもその話が出てきます。
Commented by dehoudai at 2013-03-31 12:06
村崎修二さんから「13/14に丹波篠山へ小沢昭一追悼で芸人が集まるから来い。」という招集があったので言って参ります。今西錦司さんの弟子なども来るそうです。http://dehoudai.exblog.jp/19742037/
Commented by 青木シン at 2013-04-02 15:19 x
(ワシにも)おめでとうと言う表現が近いかなあ。おめでとう!。
 いい本になりそうですね。(近々、インドへ行く予定の)シン。
by komachi-memo2 | 2013-02-25 11:09 | ヒルトップの日々 | Comments(6)